フライインゴールの南側300mほど高度は対地1800ft。P2と確認した上で、500ft/min.程度の降下率で、500ftから1000ftの降下のイメージでリップラインを引いた(つもり)。下を見ながらの操作。リップライン・スマートベントラインの確認をした記憶なし。ライン操作直後、P2がマーカー投下、川に入る可能性があったこともあり、P1、P2共、マーカーの行方を見つめる。その後P1はバーナーを焚こうと機体を見上げると、リップパネルが頂点部から離れて、頂点開口部から上空が見える。リップパネルはスマートベントを引き切った時のように絞られてはいなく、リップパネル平面状の形状を保持して機体内に浮遊していた。機体は大きな変形をしていて、開口部の焼損なしにはバーナーは焚けない状態。強烈なウィンドシアーに遭ったと思ったが機体の揺れ等はない。瞬間的にすべてを理解しスマート戻しラインを引く。リップパネルが正常に戻ったことを確認する。高度も十分あった(高度計確認ではなく経験的に)ため、開口部が開くまで待つ。少し開いた瞬間にバーナーを焚く。高度1000ft程度で機体が正常な形に戻り、降下はしているが、500ft/min.程度となる。その後飛行を継続 |
状況分析からスマートベントを誤って引いたことはほぼ確実であると思われる。ヒューマンエラーがこの結果を招いた。このヒューマンエラーを防止するためにハードで何らかの対応を考えてみる。スマートベントラインとリップラインに色調(視覚)以外に差を付けることが考えられる。1)ラインの太さを変える(結び目をつける等)。2)バスケット内のライン固定位置を明確に変える(ライン長さの調整をする)。3)スマートベントラインにリップロック等安全機構をつける。 |
明らかにヒューマンエラーによる事故である。今後の大事故を防ぐためにも、メーカー、ディーラーに対して、スマートベントラインの安全な取り扱い方を提示してもらうべきである。また、パイロットが述べている様に、現在このシステムが付いている気球を所有、飛行するものは、飛行中に誤操作を行わないように収納の仕方、固定の仕方を工夫すべきである。
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